金塊密輸の容疑で仁川空港にて逮捕された外国人乗り継ぎ客の弁護事例

本日は、金塊密輸入の容疑で仁川国際空港にて逮捕され、身柄を拘束されたまま捜査を受けた外国人依頼者の弁護を担当した事件をご紹介いたします。本件は、チェ・ダウン弁護士が正式に選任され、自ら担当した事件であり、依頼者の個人情報保護のため、事実関係の一部を変更しております。

1. 事件の概要

外国籍の依頼者A氏は、東南アジアのある国から金塊をカバンに入れて出国し、大韓民国を経由して本国へ入国する予定でした。

A氏は、経由地である仁川国際空港において、旅行者携帯品申告書に「税関に申告すべき物品なし」と記載したうえで入国審査場を通過しようとしたところ、税関職員に逮捕されました。そして、金塊を申告せずに密輸入しようとしたという関税法違反の容疑で勾留され、捜査を受けることとなりました。

2. 後を絶たない金塊密輸犯罪

金塊密輸事件は、これまで幾度となく報道され、社会問題として取り上げられてきたにもかかわらず、依然として繰り返されています。周辺国の空港においても、金塊密輸が明白な犯罪であることをポスター等で継続的に周知し、注意を喚起しています。

それにもかかわらず、密輸組織は中国や東南アジアなどから、金塊を身体に隠匿するなどの手口により、大量の金塊を持ち込んでいます。とりわけ、経済的に困窮している高齢者に対し「無料の海外旅行」を提供すると持ちかけ、いわゆる「お使い」を頼む形で犯罪に巻き込む事例も少なくなく、深刻な問題となっています。

3. 依頼者の主張と事件の争点

A氏の事案は、一般的な金塊密輸事件とはやや異なる様相を呈していました。

A氏は、乗り継ぎの待ち時間に仁川市内を少し観光する予定であったにすぎず、韓国に知人が一人もいないため金塊を国内に持ち込む理由がなく、申告すべき事項はないと考えていたと主張しました。また、金塊を税関に預置(一時保管)するつもりであったものの、その方法が分からなかったため申告書に記載できなかっただけであると供述しました。

しかし、大韓民国の旅行者携帯品申告書には、「預置する物品がある」ことを記載する項目が別途設けられています。A氏は、申告書をよく読んでいなかったため、この項目に気付かなかったと主張しました。

本件の主な争点は、次のとおりでした。

  • A氏に金塊を国内へ密輸入する故意があったか否か
  • 預置する意思はあったが手続きを知らなかったという主張の信用性
  • 入国前に申告書の内容を認識していたか否か

4. 捜査過程で明らかになった事情

捜査の過程で、A氏が入国前に、自国語に翻訳された大韓民国の税関申告書の内容を事前に確認していた記録が発見されました。これにより、申告書の項目を知らなかったというA氏の主張は認められにくい状況となりました。

さらに、大韓民国の税関は、A氏の入国以前から、外国当局より「A氏が金塊を密輸する可能性がある」との情報提供を受けていました。そのため、A氏は「申告すべき物品なし」と記載した申告書を提出した直後に逮捕され、その後勾留されました。

チェ・ダウン弁護士は、勾留後に正式に選任され、税関調査および捜査段階における依頼者の供述方針と防御戦略を共に検討し、依頼者に有利な情状事実を整理するなど、事件全般にわたり弁護活動を行いました。

5. 金塊密輸入に対する処罰

韓国の関税法は、税関に申告せずに物品を輸入した者について、5年以下の懲役、または関税額の10倍と物品原価のいずれか高い金額以下の罰金に処すると定めています(関税法第269条第2項)。

また、密輸入した物品の原価が2億ウォン以上である場合には、「特定犯罪加重処罰等に関する法律」が適用されて刑が加重されます。密輸入した物品は没収され、没収できない場合にはその価額が追徴されることがあります。金塊は少量であっても物品原価が高額となるため、加重処罰の対象となるケースが多く、初期対応が極めて重要です。

6. 税関事件で経験豊富な弁護士が必要な理由

税関で進められる事件には、一般の刑事事件とは異なる特殊性があります。税関公務員が特別司法警察官として直接調査を行い、関税法上の申告・預置・通関手続きに対する理解が、事件の結論に直接影響を及ぼします。そのため、一般の刑事事件の経験が豊富であっても、税関事件の手続きや実務に対する理解が不十分であれば、適切に対応することは困難です。

特に外国人の被疑者の場合、言語の壁、韓国の法制度に対する不慣れ、身柄拘束による防御権の制約などが重なるため、より迅速かつ正確な弁護が求められます。

金塊や麻薬など、さまざまな密輸事件を担当し、税関調査の実務を経験した弁護士を選任することが何よりも重要である理由は、まさにここにあります。

結びに

金塊密輸入事件は、申告義務違反の故意の有無や物品原価によって処罰の重さが大きく異なり、物品原価が2億ウォン以上の場合には特定犯罪加重処罰法が適用され、重い刑が言い渡される可能性のある犯罪です。チェ・ダウン弁護士は、密輸事件においては、申告書の作成経緯、故意の有無、そして税関調査段階における供述内容を正確に検討することが、対応の出発点であると強調しています。

● 執筆者:弁護士 チェ・ダウン(채다은)
元・仁川空港本部税関 関税犯則調査審議委員会 委員
金塊密輸・麻薬密輸などの関税法違反、税関調査対応、外国人刑事事件のご相談

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